泣いてもがいて笑って泣いてな日常

アラフィフになってもくだらないことで悩みます

便利な「理不尽」

ある漫画を読んだ。

小学生のその子はバスケットボールが大好きでずっと頑張ってきた。誰よりも練習もしていたようだ。同学年の子が丁度5人なため、その5人がレギュラーとして試合に出て、チームワークもバッチリだった。

そこへ同じ学年の子が新しく入ってきた。そしてその主人公の子はレギュラーから外された。

新しく入ってきた子とは技術的にはほとんど変わりはなく、大きく違うところは背の高さ(後から入ってきた子が背が高い)というところだ。ちなみにコーチは、「親の口出しは一切受け付けない」ということを公言している。

 

ここで、主人公の母親は、怒りに震えてコーチのところへ行こうとする。

父親は、こんな理不尽なことは世の中たくさんあるという。

子供はかなり落ち込むが、結局辞めず、試合の時は精一杯仲間を応援をする。

そんな子供を見た母親は、自分の子の心の強さを素晴らしいと思い、コーチのところへ文句を言いに行かなくて良かったと思う。

 

という一見美談。

 

一昔前の話、今時の子には分からないかなー。

ひどい上司に言われのない文句を言われ仕事を押し付けられ、理不尽なきがするけれど、でも、上司ってこんなもんかもな。これで仕事を教えてもらってるのだろう。部下は我慢だ!

理不尽だけど我慢しますか?今では、パワハラと言われます。場合によっては罪となりますよ。あなたは、上司の態度をただの理不尽なだけで、部下たるもの我慢をし忍耐力をつけるのだー!と世間に向かって言えますか?

 

うちのダンナは何故か家でいつもイライラしている。外ではものすごくいい人らしいけれど、家では文句を言うし物が飛んでくる。先日はついに叩かれた。とっても理不尽な気がする。でも外で稼いできてくれて大変なのだろうし、最近、暴力がひどくなってきているけれど、私が我慢すればいい。

これこそDVの何者でもないです。犯罪ですよ!命の危険があっても、まだあなたは、この人の態度を理不尽だけどしょうがない、と受け入れられますか?

 

こういう人たちは、我慢して耐えたから、素晴らしい人生を送れて人間的に成長したのだろうか?

 

バスケットボールの少年のお父さんは、きっと会社で上司に何でもかんでも怒鳴られても、こんな理不尽は世の中の常ー、と思ってるんだろうな。

 

そんなお父さんに聞きたい!

人事異動で、この怒鳴り散らす上司と、話をしっかり聞いて正しいことは誉めてくれ間違っていることは穏やかに指摘してくれる上司、好きな方を選んでいいと言われたらどっちを選ぶ?って。

 

理不尽なことに耐えることが人を強くするのだ!と、怒鳴り散らす上司を選ぶと言うなら、私の出番はもう無い。

 

ほぼ100%穏やかな上司を選ぶだろう。

つまり、理不尽を受け入れると言うのは、ある意味勝手に、仕方がないと思っているから、選択がないと思っているから。

もし、だれかが選択肢をご丁寧に目の前に用意してくれたら、ここぞとばかり声を大にして、「理不尽はダメだー」というわけ。

 

バスケットボールのお父さん、バカなコーチとは違って、キチンと道理が通るコーチのチームを探しましたか?お母さん、コーチに自分の子がレギュラーから外された理由を尋ねましたか?

 

今回の出来事をキチンと説明して、その上でどうするかの選択肢を用意する、これが親の役割なのかなと思った次第。

 

理不尽だーと思ったら、私は何ができるかな?と冷静に考える力、自分で何が大切かを判断する力、自分のエネルギーを理不尽に悩むことに使わず、自分の仕事に100%注ぐことができるように環境を変える力、そういう教育をお父さんとお母さんは「世の中こんなもん」で逃げただけ。ただ面倒くさがっただけ。賢い子供なら、うちの親もアホだなーと気づくはず、な話にしか思えなかった。

 

世の中には選択できない理不尽なことがある。

生まれつき治らない病気や障害を持っていて、できないことがあるとか、虐待をする親の元に生まれてきたとか。こういう人が持っている境遇のために諦めなきゃいけなかったり選択の余地がないときこそ、「理不尽」の際たるものだと思う。そういう点からも、理不尽だけど仕方がないと、安易に理不尽という言葉をつかい、理不尽=仕方がないと思う人たちが本当に多いと感じる。

 

ちなみに我が家もこのバスケットボールの少年とレギュラー争いではないが、かなり似たような出来事があった。親は先生に理由を尋ねた。全く道理通らない説明をしたので、言っていることが矛盾していると指摘したら、「指導者の言うことが絶対だー。モラハラ親め」と言われた。

子供には全て説明をして、別の指導者のところに変わるか、もう辞めるかなどなど、話をして選ばせた。結局は、別の先生の元にお世話になった。

 

長くなったなあ。本当に久々に腹ただしい漫画を読んだ。あれを美談だと感じるように描く人がいて、それに乗せられる人がいるから、日本は変わらないのだろう。

 

国が言ってるから仕方ない。